夏目は銀行の為替ディーラー、妻いずみはテレビ局の報道記者。高校で出会って以来の長い付き合いで、妻は何でも分かっているつもりだった。しかし、ある日突然夏目は失踪する。残された妻は足どりを追いかけ、夏目がネットカフェを転々としながら列車で新潟へと向かったことを知る。なぜ夏目は姿をくらましたのか。彼はネットカフェで繰り返し同じサイトにアクセスし、架空の少女「マルス」と会話していたのだった。◆悩み多い３０代前半世代を軸に、現代社会の闇を描く。作：原田裕文、出演：斉藤洋一郎、高橋かおり、吉見一豊、小坂優舞ほか

砂川晴美はリハビリ病棟の理学療法士として勤務を始めて２年余り。病気やけがを抱えた人たちが元の生活ができるように、身体の機能を回復させるリハビリを行うのが仕事だ。春美の勤務する病院に、今回は実の母親が付き添われてやってきた。半年前に脳梗塞で倒れ、後遺症が残ったのだ。一方、両親が営むブラウス縫製業はトラブルで苦境に陥っていた。晴美の兄はいっそ廃業することを提案し、母は自分のせいで、と我が身を責め、リハビリを焦る。そんな母に懸命に対応する晴美だったが、身内贔屓だ、という中傷も耳に入ってくる。医療スタッフと家族の両方を兼ねることで、あらためて親子の絆そして、職業人としてのあり方を問い直す。◆脚本：香取俊介、出演：魏涼子、篠田三郎、草笛雅子、ほか。

幅広い世代に絶大なる支持を得ている、漫画家・高橋留美子氏の短編傑作漫画をドラマ化する。人情味あふれる男女の機微や、日常にある夫婦間の心情をコミカルかつあたたかく描く。漫画から始まる、感動の大人向きエンターテインメントドラマ。２００９年７月１９日～９月１３日放送、全８回のうちの第５話。◆２３回目の結婚記念日に食当たりで亡くなった妻の幽霊が茶の間に居座り続け、新たに芽生えはじめた夫の恋路を邪魔する。

仮７級は、秋田県最南端のにかほ市象潟を拠点に活動する女性フォークデュオ。いとこ同士の齊藤智子さんと珠樹さんが結成した。二人の歌には象潟の風景や人が、象潟の言葉で綴られている。軽快なリズム、口ずさみやすいメロディ、美しいコーラスは、特に中高年の心をつかんでいる。秋田市でもストリートライブを行うが、知名度も低く、ほとんど客が集まらない。メジャーデビューへの道は厳しい。仮７級は地元の成人式で歌うことになる。夢に向かってひた走る姿を新成人に贈りたいと、市の職員が決めた。そのライブで、智子さんが新成人にお願いがあると切り出した。「ある癌患者が多くの人から“ありがとう”の言葉を浴びて癌が治ったと読んだ。末期癌の父にも“ありがとう”の言葉を浴びせたい。あなたたちの若い力を貸してほしい」。携帯電話を通して“ありがとう”が病床の父親に届けられた。こうして誰かに支えられてきた。二人が「ありがとう」の気持ちを表せるのは、歌い続け、夢に向かって走る姿を見せ続けることだ。仮７級は「オイだのうた」を今日も歌い続ける。

幅広い分野から講師を迎え、日本語をユニークな視点から捉える「私の日本語辞典」。４回シリーズで、日本文化史が専門の国士舘大学教授、原田信男さんを迎える。第４回は江戸時代の料理の庶民化、明治・大正時代の西洋料理の導入と大衆化、そして料理のことばの起源、「和食」とは何か、などについて伺う。聞き手は秋山和平。

ＮＨＫ－ＦＭ放送開始４０年を記念した特別番組。１９７８年から１９８７年にかけて放送された人気番組「サウンドストリート」から、厳選した放送回を萩原健太の解説で４週にわたり送る。３週目は「甲斐よしひろ」特集。第１１回は１９８３年７月１３日（水）放送分を紹介する。◆この日の放送は、甲斐バンドの新ＬＰ「ＧＯＬＤ／黄金（ゴールド）」から７曲を紹介、ニューヨークでのレコーディングの裏話も飛び出す。

俳人の種田山頭火が愛媛県松山市の一草庵で亡くなったのは、昭和１５年（１９４０）１０月１１日未明。没後７０年を記念して制作された番組。一生をかけて理想とする俳句を追求した山頭火は、果たして俳句の革命児だったのか、それとも異端児だったのだろうか。高浜虚子の曾孫弟子である俳人の夏井いつき氏が、山頭火と時空を超えて架空の対談を行う。（山頭火に扮するのは桝形浩人）◆虚子から脈々と受け継がれてきた「有季定型」と、山頭火の自由律、考え方は真っ向から対立する。二人の俳人の季語に対する考え方、句作への執着、生き様などから、俳人とは、句作とは、生きるとは何かを考える。

幅広い分野から講師を迎え、日本語をユニークな視点から捉える「私の日本語辞典」。４回シリーズで、日本文化史が専門の国士舘大学教授、原田信男さんを迎える。第２回は稲作の伝播、肉食の衰退、神人共食、家族との共食などについて伺う。聞き手は秋山和平。