長野市生まれの杉本真維子さんは、２００７年度に詩の世界の芥川賞と称される「Ｈ氏賞」を受賞した。５０代でもまだ若手と呼ばれる詩壇において、３０代の若さでの受賞は、実に２０年以上ぶりの快挙であった。杉本さんはどのように言葉を選び、どのように推敲して、ひとつの詩を生み出しているのか、その過程を追う。詩の最初の言葉が自分の中に“降りてくる”時を、彼女は「詩の尻尾のようなものをつかむ瞬間」と表現する。つかんだ尻尾の先には何が見えるのだろうか。

２００９年１月１日、青森県八戸市で浄水場への導水管の破損事故が起こり、八戸市ほか８市町村で大規模な断水が続き、２０万人以上の人たちの生活に支障をきたした。十和田市の鍼灸マッサージ師の南舘邦士（くにお）さんは全盲で、ラジオパーソナリティでもある。南舘さんは自分のラジオ番組で、身体にハンディがある人たちが災害時にどんな状況に置かれるかを検証した。南舘さんの自宅から中継を行い、新潟県で防災の市民活動に取り組む稲垣さんほかを電話でつなぎ、これからの防災、ハンディを持つ人たちの支援のあり方を考える。

元禄９年（１６９６）、父・三代尾張藩主綱誠、母・宣揚院の間に生まれた２０番目の男子・万五郎は、享保１５年、兄・継友の突然の死により思いがけず七代藩主となった。派手で奇抜な服装で驚かせる彼は徳川宗春と改名し、政策書「温知政要」をまとめる。それは人権を重んじ、民衆がのびのびと生活を楽しめる政治を目指す、当時としては画期的な内容だった。ゆとりを得て文化の花を咲かせる名古屋の町。だが時代は質素倹約を掲げた享保の改革の真っ只中で、「温知政要」は出版を禁止されてしまう。その後、宗春が御三家の藩主としては前代未聞の「蟄居謹慎」を言い渡されるまで、残された数々のエピソードをドラマと取材ルポで検証し、時代の寵児宗春の人となりを描く。また、この時代に築かれた活気ある名古屋文化を見直していく。◆脚本：小林仁、構成：麻創けい子、出演：杉浦俊、石黒寛、ほか。（初回放送１９９６年１０月２７日、第３５回前島賞コンクール前島賞受賞）

この年４月、アメリカのオバマ大統領が「プラハ宣言」の中で核廃絶に積極的に取り組むと表明。こうした中でアメリカの人たちはどのように変わろうとしているのだろうか。広島市出身の被爆二世で、アメリカ・シカゴ在住の大学助教授宮本ゆきさんの活動を追う。宮本さんは学生たちに原爆被害の実相や核拡散の現状、核廃絶への道のりなどについて講義を通して伝えている。アメリカでは原爆投下は戦争終結に必要だったという考えが根強いが、学生たちの中には核や原爆への認識を新たにし、広島を訪れたり、アメリカで核廃絶を訴える行動をはじめたりする人も出てきた。アメリカで起こりつつある変化を見つめ、核廃絶を現実に近づけるために、私たち日本人はどんな働きかけが出来るのかを探る。

日本における独特の洋楽文化や地元福岡の音楽シーンを振り返って掘り起こす、こだわりの音楽番組。ミュージシャンや音楽関係者へのインタビューも行う。エアジョッキーは松井伸一。（２００９年４月放送開始）◆最初のコーナーは忌野清志郎追悼特集。「出発の時間」の謎を解析する。「ＬＩＶＥ　ＩＮ　ＦＵＫＵＯＫＡ」のコーナーでは１９７５年に福岡で行われた洋楽コンサートを振り返る。後半のゲストコーナーは、前回に続いては元ソニーミュージックの野中規雄氏を迎える。野中氏はエアロスミスやチープトリックらを日本で大ヒットさせた洋楽ディレクターである。今回は彼が手がけた数多くの洋楽アーティストの中から、モット・ザ・フープル、エアロスミス、ジャニス・イアン、クラッシュのエピソードを聞く。

ブギウギラジオで出会った人々を通して、うみがめと自然環境の保護を考える。◆福岡県福津市の秦さんは“亀仙人”と呼ばれ、うみがめと砂浜の保護活動を行っている。かつて屋久島同様にうみがめの故郷だったこの浜にも、環境の変化が押し寄せている。現在最大のうみがめの産卵地である屋久島でも、ボランティアの大牟田さんが環境保護の難しさを語る。うみがめへの思いは、福津の高校にできた「うみがめクラブ」の生徒たちに引き継がれていく。福津での子ガメの旅立ち、屋久島での産卵の様子も、音で伝える。

２００８年４月から毎週月曜から木曜に放送されている、午前の生ワイド番組。特に火曜日のレギュラーは栃木弁を巧みに操る方言作家として県北地方を中心に絶大な人気を誇る嶋均三氏が出演。番組全体に栃木弁があふれる郷土色豊かな地域密着型の放送を行っている。番組の柱は、嶋さんの友人たちをスタジオに招く「均三とゆかいな仲間たち」、嶋さんの人生を振り返った「均三のごじゃっぺ人生録」、そしてリスナーから投稿された栃木弁を織り込んだ川柳を紹介する「均三の方言川柳」で構成。パーソナリティ：中山湖。

東京タワー完成前後の時代を描いた映画のヒットや、おまけつき駄菓子の復刻など、ここ数年「昭和」がちょっとしたブームだ。ラジオ放送の始まった昭和初期から敗戦を経て、昭和５０年頃までの、国民を元気付けた明るい歌謡曲の名曲とその魅力、歌手を紹介する。また、その時々の鹿児島の様子や、ラジオ局のあゆみなどについて、放送マンＯＢに話を聞く。紹介される曲は、「リンゴの唄」「星の流れに」「憧れのハワイ航路」「恋のバカンス」「瀬戸の花嫁」など。