毎週日曜の夜放送のトーク番組『私の書いたポエム』の、年に一度のスペシャル版。１１月２３日、都内ホテルで長岡一也アナウンサー、大橋照子さんの司会による公開録音が開催された。「希望」というテーマで詩の朗読とゲストの杉真理さんによるライブ、そしてトークを届ける。まずは、福島県在住の詩人であるゲストの和合亮一さんが、震災発生後に書いた自詩「希望」を静かにそして激しく朗読する。続いてリスナーからの創作ポエムから優秀な６作品を発表し表彰する。大切な人を見送り残された人の希望、震災の身近な体験を題材に犬の気持ちになって書かれた希望、病気の中で見出した希望。住職の中野東禅さんは、試練をどうやって希望に変えるかを説く。（６０分の編集版を公開）

大学は出たものの、なかなか就職も決まらず、大阪ミナミのスナックでアルバイトをすることになったナナコは、インテリアデザイナーへの夢も忘れて、諦めの日々を送っていた。恋人のタカシには、東京に本命の彼女がいて、自分は浮気相手だった。店で働き始めた矢先、同じ店で働く不器用なチヒロと出会った。そしてチヒロがナナコの部屋に転がり込む形で、二人の同居生活が始まった。変わった性格のチヒロだが、妙な前向きさに、ナナコは惹かれていった。やがてチヒロは、道頓堀に飛び込んで人生を変えたいと言い出す。◆現代の就職難の中で、希望を失いかけながらも懸命に生きる二十代女性を主人公に、独自のテンポ感とユーモアを交えて描く、痛快な友情物語。作：堀達夫、出演：村川絵梨、徳永えり、鳥羽潤、ほか。第３１回ＢＫラジオドラマ脚本賞佳作入賞作。

長岡市議会議員の藤田芳雄さんは１９９９年４月の選挙でトップ当選を果たした。わずかに光を感じるだけのほぼ全盲だが、彼の選挙を支えたのは、盲導犬のオパールだ。しかし、盲導犬と共に議会活動をという希望に周囲から反発の声が上がる。さらに、初の障害者議員誕生に市役所は戸惑いを見せ、急遽点字プリンターなどを導入した。藤田さんは全国で初めて盲導犬を連れて議場に入り、一般質問に臨んだ。その後、公共施設のバリアフリー化を積極的に進め、中越地震、中越沖地震を機に災害弱者の名簿作りや福祉避難所の設置も進んだ。相棒のオパールは１２歳で引退。藤田さんも今春、３期１２年で議員生活にピリオドを打った。最後の一般質問を終えた藤田さん。その１週間後に東日本大震災が起きた。藤田さんは後輩に思いを託し、民間の立場で引き続き弱者に優しいまちづくりに取り組む。また、趣味のマラソンや太鼓の演奏、作詞と、健常者とともに精力的に活動を続ける。仲間に恵まれ、自らの運命に感謝する６３歳の藤田さんに、新たな目標が待っている。

ラジオ関西に所属した歴代アナウンサーの証言で、１９５２年４月１日の開局から今日に至る歴史を振り返る開局６０周年番組。◆小山美智子さんの第４回。電話リクエストは大成功を納め、小山さんは局の看板番組となったこの番組を担当し続ける。植樹祭で来県する天皇陛下に「声の手紙」を贈ろうとデンスケをかついで一人で取材して回ったエピソードや、若い頃の様々な失敗談も語る。思い出の曲はフランク・シナトラの「オール・ザ・ウェイ」。

児童虐待の問題が深刻化する中で、どのように子育てを支援し、虐待を防止するかを学ぶシリーズ。講師は大阪市立大学の山縣文治教授。◆第４回は、社会が子どもをどう育むか。現在、国では新しい子ども家庭福祉のあり方が検討されている。また各市町村が２０１０年４月から、次世代育成支援対策推進法に基づき作成した「子ども子育てビジョン」が推進されている。このビジョンでは、子どもを中心に置いた施策、社会全体で子育てを支えていくこと、仕事と子育てを両立できる社会を目指すこと、などが示されている。新しい子ども家庭福祉システムの方向と検討課題、またその中でも大きな変化を伴う幼保一体化について考える。

高松商業高校定時制４年の佐藤幸子さんは７０歳の現役高校生だ。夫が亡くなり、夫婦で経営していた会社も失ってつらい毎日を送っていた時、「自分のやりたいことをやれば」という娘の言葉に、高校へ行こうと決意。孫と一緒に受験勉強し、家庭の事情で叶わなかった進学の夢を果たした。最初は十代の同級生とどう接するか悩んだ佐藤さんだったが、担任の先生は分け隔てなく接してくれ、同級生も「さっちゃん」と呼んでくれるようになった。生き生きと毎日を送る佐藤さん。わからないこともあるし、記憶するのは大変だが、努力でカバーし、その姿勢が周囲の生徒にも良い刺激を与えている。家族や友人の励ましが彼女を支え、先生達が学ぶ楽しさを教えてくれた。好きな科目は数学だという。何かで一番を取ることを目標にしてきた佐藤さんに、弁論大会出場のチャンスが巡ってくる。晴れの舞台で新たな挑戦の連続だった４年間を振り返り、「何かを始めるのに遅すぎることはない」と訴える。

２０００年の鳥取県西部地震で溝口町役場が倒壊し、書庫の大量の書類の中から、合併前の旧二部村が記した兵事日誌が発見された。兵事日誌は敗戦の日に軍令部から焼却命令が出され、現存する例は極めて稀である。そこには日中戦争から太平洋戦争敗戦まで８年間の臨時召集令状、いわゆる赤紙の配達などが記録されていた。この日誌と、当時の役場の兵事係だった生田治亨さんの日記を重ね合わせることで、昭和１２年（１９３７）７月の盧溝橋事件を契機に小さな山村が一気に戦争に巻き込まれていく様子が読み取れる。満蒙開拓少年義勇軍の送り出し、赤紙の配達、戦死公報、そして終戦当日の記録から浮かび上がる戦争の実情。人口わずか２４００人の村で、配達された赤紙は４００通に上った。家族を戦地に送り出し、残された者の苦しみや悲しみもまた大きかった。戦争の生き証人とも言える記録を基に、決して忘れてはならない戦争体験を伝える。平成２３年度文化庁芸術祭参加作品。（初回放送２０１０年８月１５日）

「浜松町かもめ亭」の第４２回公演として２０１０年１０月に開催された「三遊亭兼好の会　西洋音曲噺『死神』」（文化庁芸術祭参加公演）を放送するお正月特別番組。「死神」は明治時代中期に三遊亭圓朝によって創作された演目で、グリム童話の「死神の名付け親」とイタリアオペラ「クリスピーノとコマーレ」が下敷きになっていると考えられている。今回の作品は、落語の語りと西欧の古楽器であるリコーダーとチェンバロの共演で、西欧由来の物語に再び西欧的要素を加えようという演出。ストーリーにも多少の改訂を加えている。エンタテイメント性溢れる、お正月にふさわしい古典落語と音楽の優雅なコラボレーションを楽しむ。◆貧乏続きで死のうとしている男の前に死神が現れ、「お前にはまだ寿命がある。金持ちになる方法を教えてやる」と話しかける。作：三遊亭圓朝、脚本：江碕浩司、落語：三遊亭兼好、演奏：江碕浩司、長久真実子。