名古屋の真ん中を流れる堀川は、まもなく４００歳を迎える。その川に時空を超える船を浮かべ、掘割から、河口だった七里の渡しまで、川沿いの風景から消えた音、生まれた音を、橋の界隈に残る言い伝えなどをもとにしたドラマの中で再現して行く。最初の物語は、名古屋城築城の際に、物資搬送のための水路「堀川」の開削を命じられた福島正則と、同じく石垣作りを命じられた加藤清正の物語。その他、堀川でハエ（銀ブナ）を獲る貧乏藩士、屋形船を浮かべて花見を楽しむ二人の塩商人、名古屋空襲で橋の下に逃げて亡くなった女学生など、さまざまな時代の人々を主人公にしたドラマを、チンドン屋、舟遊びの三味線などの音を織り込みながら描く。脚本：麻創けい子、語り：田中幸子、出演：石黒寛、ながたひとし、ほか。

様々なボランティア活動に取り組む夫婦の熱意を描く。◆子どもの日、熊本県八代市の商店街アーケードで、華やかに着飾った子どもたちがパレードをする。２２０人余りがシンデレラや王子さま、海賊などに扮し、おとぎ話の世界から飛び出してきたようだ。この「ちびっ子カーニバル」を主催するのは、八代市の出田さん夫妻。順子さん得意の洋裁を生かし、衣装はすべて手作り。パレードを盛り上げる海賊船や馬車など乗り物もすべて夫妻が自費をつぎ込んで制作したものだ。シャッターが目立つ商店街を元気づける恒例行事となったこのパレードも２０回目。元気な子どもたちの姿を地域の活性化につなげるのが、出田さん夫妻の願いだ。

発生間近と言われる新型インフルエンザ。しかし、実際に発生した時、私たちはどう対応すればいいのだろうか。番組で作成した「新型インフルエンザ、最悪のシナリオ」に基づいて、新潟大学大学院の鈴木宏教授に想定される状況、予防法、対処法を聞く。２００Ｘ年、アジアで鳥インフルエンザから変異した新型インフルエンザが発生。感染はあっという間に世界に広がり、日本でも新幹線、飛行機、ホテルから感染が拡大。患者は呼吸困難を起こして死亡していき、発生からわずか５日で日本はパニックに。そして新潟県でも患者が発生。市内を封鎖するも、感染は止まらず、タミフルも人工呼吸器も不足する。（２００９年２月１０日、１１日放送）

平日午前の２時間生番組。パーソナリティはすずき一平と高橋直子（２００４年４月放送開始）。北海道の民間に伝わる唄を紹介するコーナーで、今回は２つの作業唄を取り上げる。◆「よいとまけ」は、戦前に苫小牧の製紙工場で丸太を積む作業のときに歌われていた。作業に携わったのは、夫を亡くした若い母親たちだ。この唄を再現した方をゲストに迎え、実際に作業をしていた方へのインタビュー（十数年前に録音）や再現した唄を交えながら、作業の様子や、時代背景、当時の人々の生活を浮き彫りにする。一方、「黒ダイヤばやし」は１９６９年、夕張の最盛期に石炭をモチーフにしてできた唄で、夕張繁栄時代のシンボルだった。しかし、石炭産業の衰退と観光産業への転換において、次第に街でも聞かれなくなった。夕張在住の民謡歌手親子が当時の夕張の様子を語り、この唄をスタジオで歌う。

パーソナリティである歌手の麻生しおりは、昨年から青森放送の裏庭でリンゴの苗木を育てている。実るまであと３年。麻生はまだ雪が残る津軽のリンゴ園に出向いた。リンゴ農家から剪定作業の指導を受けるためだ。枝を切り、形を整える作業は、高品質のリンゴを作るためには欠かせない。彼女を迎えてくれたのは、今年度、リンゴ立木品評会で農林水産大臣賞を受賞した内山さん。自他認める剪定の名人だ。初めてノコギリを手にした麻生に、枝切りの基本を伝授する。そこには子育てに共通する思いがあった。そして時間が経つに連れ、畑でラジオを聞いていた農家が次々と現場に集まり、麻生とのふれあいが始まる。

国立療養所大島青松園で暮らすハンセン病元患者の大西笑子さんは１８歳で入所した。病気が治ればすぐに帰れると思って入所したが、すでに半世紀以上が経つ。入所者盲人会の世話係がきっかけで川柳を作りはじめ、これまで故郷や日常を詠んだ句をたくさん作った。「故郷に逃げも隠れもしない、墓」は故郷への思いを詠んだ渾身の一句である。１９９６年（平成８）にライ予防法が廃止されてから多くの人が大島へ訪れるようになり、環境も激変した。大島にあった庵治第二小学校の子どもたちとの交流も盛んになり、川柳指導もしていた。（庵治第二小学校は青松園の職員の家族が通っていた学校で、２年前に生徒数の減少で閉校した。児童たちが青松園を案内する「大島案内引き受け会社」というユニークな活動が話題になった。）そして今年４月から施設の存続と発展を目指すハンセン病問題基本法が施行になった。これはどんな法律で、大島青松園の今後はどうなるのか。大西さんの川柳を通してハンセン病元患者の隔離、差別、偏見の歴史を学び、地域との交流の輪を広げることを願う。

２００９年３月、山形県上山市の山あいにある山元中学校が長い歴史に終止符を打った。戦後間もない６１年前ここに赴任したのが、無着成恭さんだった。「生活綴り方運動」でまとめた文集『山びこ学校』は大きな反響を呼び、山村の貧しい暮らしの中で現実を見詰め、いかに生きるかを自問し、貧しさと悲しさを乗り越えようとする子供たちと先生の姿は映画化もされた。その教育実践は戦後民主主義教育の金字塔と呼ばれながらも、無着さんはその後追われるように村を去り、東京で教育界に身を置いて格闘を続けたが、１９８７年に僧侶となる。一方、「山びこ学校」の級長だった佐藤さんは、その後の無着さんの生き方に反発を表しながらも、地元に留まって農業を通じて「山びこ」を超える実践を模索してきた。ゆとり教育見直しの中で、山びこ学校が残したものを見詰め直す。

岩手・宮城内陸地震が発生して２００９年６月１４日で１年が経過した。マグニチュード７．２、宮城県栗原市や岩手県奥州市で震度６強、仙台市内でも震度５強を観測し、死者・行方不明者は２３人にのぼった。番組では、改めて岩手・宮城内陸地震とはどのような地震だったのか振り返り、復興の現状や生活と地域の再生を目指して懸命に取り組む被災者の思いを伝えるほか、識者の解説を交えながら被災地の復興の課題について考える。さらに近い将来、発生が確実視されているマグニチュード７．５から８クラスの宮城県沖地震への備えについても検証する。