音楽評論家の片山杜秀が、古今東西のクラシックの名曲を独創的な視点で論じる音楽番組。（２０１３年１月放送開始）毎月第４週目はＮＨＫアーカイブスの歴史的音源から、片山がリスナーに届けたい作品を紹介する。◆今回は、ソプラノ歌手・伊藤京子を特集する。その澄んだ透明な歌声のみならず、日本語の子音と母音の発音を巧みに表現することから日本語歌唱の到達点ともいえる。曲目は、三善晃作曲「高原断章」、平尾貴四男作曲「隅田川」、プッチーニ作曲「歌劇『ボエーム』から　第１幕　『私の名はミミ』」、山田耕筰作曲「芥子粒夫人（ポストマニ）」。

山梨県立科学館が制作したプラネタリウム番組「戦場に輝くベガ　～約束の星を見上げて～」をもとに創作されたラジオドラマ。◆東京に暮らす絹田琴子（１７歳）は祖父・勇から古い日記帳を託される。書いたのは勇の姉・久子。久子は１９４５年７月６日、疎開先の甲府で空襲に遭い１７歳で亡くなっていた。七夕前夜、墓参りに訪れた甲府で琴子が出会ったのは、戦争に見舞われた恋人たちと、二人をつないだ星の物語。青年は爆撃機の位置を星によって知り命をつなぎ、少女は青年の無事を祈り星の高度を計算した。旧日本海軍の爆撃機が天体を道標にしていた史実に基づき、“人を殺すための道具”ではなく“希望を託せる輝き”として星を見つめられる「今」のかけがえなさを改めて考える。

様々なジャンルで活躍する方を毎週ゲストに招き、お話を聞く。「ＴＨＥ　ＬＩＦＥ　ＳＴＹＬＥ　ＭＵＳＥＵＭ」というタイトルの通り、放送が回を重ねるごとに、生き方や考え方のミュージアムになっていく。出演はピーター・バラカンと山内トモコ。◆今回のゲストは、アーティストの坂本美雨さん。日本とニューヨークを拠点にした音楽活動、デビューのきっかけ、父・坂本龍一氏とのエピソード、今年リリースしたベストアルバム『ｍｉｕｓｉｃ－Ｔｈｅ　ｂｅｓｔ　ｏｆ　１９９７－２０１２』など、生まれた時から美雨さんを知っているというバラカン氏ならではのトークが盛り上がる。

瀬戸内国際芸術祭（瀬戸芸）で賑わうようになった男木島を、アートだけでない出会いを求めて古茂田圭が訪ねる。男木島は過疎化と高齢化の進む島でもある。島コンシェルジュは、アートだけでなく島の人ともっと話してもらおう、と始まったボランティアガイド。発起人の木場さんの案内で歩けば、坂道が多く迷路のような路地のあちこちに瀬戸芸の作品が点在し、島の人たちが明るく温かく話しかけてくれる。憩いの場として家を提供した漆芸家の大谷早人さん、芸術祭の後も島に残ってお年寄りにオンバ（手押し車）を作っている彫刻家の大島よしふみさん、瀬戸芸の総合ディレクターの北村フラムさんにもインタビュー。大島さんは、「不便でもゆったりした時間がある」と島の暮らしの豊かさを語る。北村さんは、アートのある場所が大切で、島に来た人たちの感動が島の人たちを元気にしたと語る。

かつての賑わいを取り戻そうと開催された「新開地ミュージックストリート２０１３」の一環で行われた、「新開地ジャズヴォーカルクイーンコンテスト」の模様を伝える。進行は審査員も務めた三浦紘朗と、池田奈月。番組はイベント当日、終了直後に放送された。コンテストに出場したクイーン最終候補１０人の歌声と、審査員の講評を伝える。また、タレントの西村愛がレポーターとしてイベントの楽しさと街行く人の声を拾う。最後には、今回栄冠を獲得した第１４代クイーンをスタジオに迎え、受賞直後の喜びと感激の声を届ける。

個人の演奏会からコンサートまで、プロ・アマ、ジャンルも問わず届ける街角音楽会。（２０１０年放送開始）◆今回はＡｒｓＮｏｖａＱｕａｒｔｅｔ（アルス・ノバ・カルテット）のリサイタルを通して、普段クラシック音楽をあまり聞かない人にも、クラシックの楽しみ方を提案する。カルテットとは四重奏のこと。まずは使用されている楽器の種類を紹介し、楽器の音色を聞き比べる。そして演奏されるのは、「春が来た」、ハイドン作曲「ひばり」、ボロディン作曲「ノクターン」、ドビュッシー作曲「弦楽四重奏曲」第２楽章。曲の前に聞き所のフレーズ解説や、クラシック音楽豆知識があるので、楽しく聞くことができる。

地方都市で郵便配達員として働く３０歳の「僕」は、キャベツという名前の猫と暮らしている。ある日突然、仕事中に倒れた僕は、余命わずかだと宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分と全く同じ姿をした悪魔が待っていた。陽気な悪魔は、奇妙な取引を持ちかけてくる。「あなたは明日死ぬが、世界から何か１つを消すごとに、あなたの命を１日延ばしてあげましょう」。何かを得るためには、何かを失わなくてはならない。消すものを決めるのは悪魔だ。電話、映画、時計…。僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。失われてみて、初めて感じるその物の意味や価値。僕は何かが失われていく世界の中で、母が残した愛猫と触れ合い、初恋の人と再会し、亡き母のこと、長い間断絶状態にある父のことを思う。そして悪魔は告げる。「世界から猫を消してください」と。◆ラジオドラマ初挑戦の妻夫木聡が、僕と悪魔の二役を演じる。　

自ら教師でありながら、東日本大震災で多くの子ども達が犠牲になった石巻市大川小学校の遺族でもある女川中学校の佐藤教諭は、これからの防災教育のあり方をみんなで知恵を出し考えたいと言う。津波工学を専門とする東北大学の今村教授は、宮城県沖地震を想定しながらも防災教育は自主的に学ぶもので義務ではなかったことを指摘し、地域や学校、教師によって差が出ないよう、学校で誰もが必ず学ぶべきものと語る。そんな中、宮城県の多賀城高校に防災科が設置されることになった。全国で唯一環境防災科を持つ兵庫県舞子高校から、宮城の未来の防災教育のヒントを探る。宮城県では昨年度から県内全ての公立学校に防災主任を配置。大川小遺族の佐藤教諭はこの主任に任命され、意識と習慣を柱にしたオリジナルの防災教育を展開し、生徒達も意欲的に取り組んでいる。未曾有の大震災を経験した者として、１０００年後の未来の人たちに何が出来るのか、今後の防災教育のあり方を問う。