東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市。地元・統禅寺の住職である木村孝禅さんは、親を亡くすなどして支援が必要な子どもたちのために自ら借金をしてファミリーホームを建設し、現在２人を里子として受け入れ養育している。子育てを巡る悩みごとの相談にも応じている木村さんに、“子どもを守る人生”について聞く。

２０１３年７月３０日に亡くなった笑福亭松喬さんを偲ぶ追悼特別番組。松喬さんは１９５１年、兵庫県小野市生まれ。１９６９年に６代目笑福亭松鶴に弟子入りし、今日まで笑福亭の伝統を受け継ぐ上方落語の重鎮として、落語界を牽引してきた。２０１１年１２月に肝臓がんが発覚したが、病と闘いながら高座に上がり続けた。ゲストに一番弟子の笑福亭三喬さんを迎え、松喬さんの知られざる一面や、「笑福亭の本格派」と言われる所以を、ラジオ大阪に残されていた生前のインタビューと落語「一人酒盛り」などを交えて伝える。司会は松喬さんの甥弟子にあたる笑福亭銀瓶と、和田麻実子アナウンサー。

高知県の海沿いの町、土佐市宇佐にある真覚寺に、当時の井上静照住職が安政元年（１８５４）から慶応４年（１８６８）までの１４年間を綴った「真覚寺日記」が所蔵されている。そこには安政南海地震をはじめ当時の社会状況が克明に記録されている。ＲＫＣラジオはこの日記を基にラジオ番組「真覚寺　井上静照日記」を制作し、昭和５２年（１９７７）から２００回以上にわたり放送し、南海地震への備えを呼びかけてきた。次の南海地震の発生が迫る中、ライブラリーに残るこの番組が伝える安政南海地震の状況を聞きながら、南海地震研究の第一人者である高知大学の岡村眞特任教授に、南海トラフ付近で起こる巨大地震のメカニズム、被害予測、今なすべきことなどを解説してもらう。また、私たちが巨大地震にどう向き合えば良いか、改めて先人の経験を紐解きつつ考える。

音楽評論家の片山杜秀が、古今東西のクラシックの名曲を独創的な視点で論じる音楽番組。（２０１３年１月放送開始）毎月第４週目はＮＨＫアーカイブスの歴史的音源から、片山がリスナーに届けたい作品を紹介する。◆今回は、ソプラノ歌手・伊藤京子を特集する。その澄んだ透明な歌声のみならず、日本語の子音と母音の発音を巧みに表現することから日本語歌唱の到達点ともいえる。曲目は、三善晃作曲「高原断章」、平尾貴四男作曲「隅田川」、プッチーニ作曲「歌劇『ボエーム』から　第１幕　『私の名はミミ』」、山田耕筰作曲「芥子粒夫人（ポストマニ）」。

宮崎県東臼杵郡諸塚村に伝わる伝統行事を訪ね、先人が伝えようとしたしたことに思いを馳せる。◆標高の高い山頂に５世帯が暮らす諸塚村七ツ山奥畑集落では、年の瀬になると住民それぞれがしめ縄をつくり、各所に祀られている５つの神々へお参りをする行事が１００年にわたり続けられている。「来年も良い年でありますように」。各世帯で個別に作られるしめ縄は個性があり、どこの誰が作ったのかわかると住民は話す。また、この時期にしめ縄が飾られていないと、気にして家を訪ねるなど、住民同士の安否確認の役目もあるという。かつてこの奥畑を開拓してきた先人たちは、助け合いながら、過酷な自然環境の中で暮らしていたことだろう。ここ奥畑を囲むように点在する神々に定期的にお参りすることを、村の行事として伝え残す。そのことで住民同士の絆を再確認されるようにと、先人たちは願ったのかもしれない。

伊達政宗が、後に慶長遣欧使節と呼ばれる使節団をスペインやローマに派遣してから４００年。東日本大震災の被災から立ち直り、この日に再開館した宮城県慶長使節船ミュージアム、サン・ファン館から公開生放送する特別番組。ガレオン船のサン・ファン・バウティスタ号は伊達の黒船と呼ばれ、石巻から４００年前に出帆した。政宗はどんな思いでこの船を造り、使節団はどんな旅をしたのだろうか。サン・ファン館の濱田直嗣館長の案内で、館内、そして復元船の船内をめぐりながら、慶長遣欧使節とサン・ファン・バウティスタ号の歴史をひもとき、この船の歴史ロマンに迫る。またこの船は、４００年前に伊達領を襲った慶長大津波とも関連があるという。東日本大震災からの復興を目指す今と重ね合わせながら、先人たちの思いと使節の意義を考える。使節団の旅を描いた朗読劇と、使節団をイメージした音楽の演奏も、４００年前へといざなう。

みやぎ民話の会顧問の小野和子さんは、民話を語る人々に会って話を聞く民話の採集を、４２年間続けている。民話は「語る」ことと、共感をもって「聴く」ことで成立するものだと小野さんは言う。東日本大震災では、民話の会の仲間も被災した。しかし被災５か月後には、民話の語り手から震災の体験を聴く集いを開き、全国から２００人が集まった。◆２回シリーズの１回目は、あの日を語り継ぐために開いた「みやぎ民話の学校～津波を語る～」について聞く。小野さんたちは数年おきに、民話を聞く「みやぎ民話の学校」を開催してきた。２０１１年も開催予定だった民話の学校は震災で中止になったが、「全部流されたけど、私には民話が残った」という語り手の言葉に動かされ、小野さんは、何らかの形で「民話の学校」を開こうと決意した。６人が語る震災の体験に参加者は全力で耳を傾け、それは「語る」と「聴く」の原点を思わせる、密度の濃い時間となった。

幅広い分野から講師を迎え、日本語をユニークな視点から捉える「私の日本語辞典」。４回にわたり、平安文学が専門で百人一首を研究している同志社大学教授の吉海直人さんを迎える。第２回は、吉海さんが発見した、並び順の異なる「異本百人一首」（百人秀歌型排列の百人一首）について、また、なぜこれらの歌が選ばれたのか藤原定家が百首に込めた思いについて伺う。聞き手は秋山和平。