東海ラジオの社内で見つかった三十数年前の情報番組の録音テープの中に、名古屋の浄土真宗のお寺の住職、祖父江省念さんの節談（ふしだん）説教が収録されていた。節談説教は落語、講談、浪曲、浄瑠璃など日本の話芸の源流といわれ、僧侶が節をつけて信者に教えを説いた説教が起源と考えられる。江戸時代から昭和初期まで盛んだったが、戦後に衰退。１９７０年代に小沢昭一氏らの尽力で再び脚光を浴びたが、そのきっかけになったのが祖父江さんだった。きわめて芸能的な表現の節談説教だが、あくまでも布教活動だ。人気説教師は大会場の信者を熱狂させ、説教が終わると念仏が湧き起こったという。祖父江さんの説教は「一声、二節、三男」の三拍子が揃っていると評され、それまで節談説教に興味のなかった若者まで惹き込んだ。その魅力と人物像を、講談師神田京子の名調子と、実際の節談説教の演目、佛教大学名誉教授の関山和夫氏、祖父江さんの孫娘・佳乃さんへのインタビューで描く。佳乃さんは節談説教の後継者としての活動も始めている。

長引く不況で静岡県内各地の花火大会が中止になる中、午後ワイド番組「らぶらじ」は２０１０年８月に花火プロジェクトをスタートさせた。安倍川花火大会で番組名を入れた特大スターマインを打ち上げ、リスナーと共に桟敷席で観賞する計画だ。だが花火の打ち上げと２０００人分の桟敷席で総額１５０万円が必要と判明。出演者とスタッフはたじろぐが、リスナーの協力や番組グッズの販売で花火募金を展開した。半年が過ぎ、費用の確保に目途が付いた頃、東日本大震災が発生。全国の放送局がどんな放送をしたらいいのかを模索する中、「らぶらじ」にもリスナーから放送に対する厳しい意見と共に、花火募金の使い道についても様々な意見が寄せられた。番組をまとめる女性プロデューサーは苦悩し、更には震災後の自粛ムードを受けて、安倍川花火実行委員会からは大会中止の発表も飛び出す。花火プロジェクトはどうなるのか。試練に次ぐ試練の中で、悩み、迷い、多くのリスナーと共に歩んだラジオを愛するプロデューサーの花火奮闘紀。

幅広い分野から講師を迎え、日本語をユニークな視点から捉える「私の日本語辞典」。５回シリーズで群馬県立ぐんま昆虫の森園長の矢島稔さんを迎える。第４回は水辺の昆虫、主にホタルとトンボを取り上げる。光で求愛するホタル、ゲンジボタルとヘイケボタルの違い、昭和天皇と皇居の自然、トンボの別名「勝ち虫」と「秋津」などについて伺う。聞き手は秋山和平。

耳（みみ）をすませば、きこえてくるいろいろな音（おと）。おとおばけといっしょに、おもしろくて、ふしぎな、音のせかいをぼうけんします。◆ヨーデルはヨーロッパのアルプスちいきで生（う）まれた歌声（うたごえ）です。高原（こうげん）でうしやひつじをかう人（ひと）たちが、なかまによびかける時（とき）につかいました。たかい声（こえ）とひくい声（こえ）をくりかして出（だ）す、おもしろい歌（うた）いかたです。北川桜（きたがわさくら）さんが、たのしくなるヨーデルをきかせてくれます。

Ｂ魔女の「びい」は、美しいの美ではなくＢ級のＢ。高知放送ラジオのパーソナリティでは常識派と称される井津葉子と個性派の渡辺さおりが、「恋ばな」「酒」「大失敗」「男と女」「パーソナリティ」「懺悔」などのお題を元に、今年最後の夜にしゃべり納めを行う。番組内でかかる音楽も、互いの思い出を語る曲ばかり。大晦日の夜だから、いつもよりぶっちゃけてしまう中、スタジオに自腹でお酒を持ち込み、女子会トークは本音がぽろぽろ。笑える話あり、真面目トークあり。リスナーに親しまれているＢ魔女二人の本性が明らかになる。

三重県内で活躍する人を紹介するトーク番組。三重県東紀州地区（三重県南部）の、とある街角のカフェで、オーナーママと来客（ゲスト）が四方山話を繰り広げる。今回のお客様は、「夢古道おわせ」のアドバイザー伊藤将司さん。地元の木を活用しようと、尾鷲ひのきの廃材を活用した数珠や、木の温もりが心地よい床マット作った。アイデアの実現には苦労があったが、その活動が認められ、ロハスデザイン大賞にノミネートされている。伊藤さんは、地域を愛し、地域の資源を活かす熱意を語る。

自宅から電車を乗り継ぎ、亡き夫の墓参りをするお年寄り。身寄りのないこの女性はＮＰＯ法人「きずなの会静岡」の会員だ。以前、跡取りがいないため寺の永代供養を断られたが、会員になったおかげで会が所有する共同墓地に入ることができる。きずなの会は愛知県で始まった高齢者の身元保証、生活支援を行うＮＰＯで、藤枝市の民生委員の山崎道生さん（７１歳）が静岡事務所を開いた。民生委員としての限界を感じていたのがきっかけだった。また、自らも子どものいない夫婦で、お墓が用意できないことを悩んでいた。３年が経ち会員は１００人を超えた。スタッフが会員を支援する家族的なサービスの提供だけでなく、会員同士が家族のようになれないかと、山崎さんは独自にメンバーズサロンを企画する。集いあう会員たちがどのように交流を深めていくのか、身寄りのない高齢者が亡くなった時どんな支援をするのか、きずなの会静岡の活動を追う。

西田敏行と竹下景子による二人芝居の文芸ドラマシリーズ。◆ＳＦ界の巨匠・小松左京。１９６２年のデビューから、「日本沈没」など数多くの作品を発表してきた。優れた短編も数多く発表しており、今回はその中から６作品をラジオドラマで送る。◆「歩み去る」：男は、ブラジル・リオデジャネイロのコルコバード頂上で一人の青年と再会した。青年は、途中で知り合った友人たちと共に旅をしているという。それから数年、男は世界各地で何度も若者たちと再会することとなる。男は、気になっていた旅の理由を尋ねた。何かを探して旅を続けているらしい若者たちだが、肝心の目的には触れず、はぐらかされてしまう。実は男にも旅の目的があった。男の旅の目的、若者たちの不老の謎、若者たちが求めていたものとは…。