大分県別府市に住む衛藤宏章さん（２７歳）は、趣味の落語を人前で披露したいと稽古に励み、近く“ザトー”として高座デビューすることが決まった。衛藤さんは４年半前に緑内障を患い、失明した。高座名の“ザトー”は、江戸時代の目の不自由な人の琵琶法師らに与えられた官位の一つ「座頭」にちなんで、自ら名付けた。師匠がいないザトーの稽古は、まずパソコンの動画サイトで好みのネタをおぼえ、友人に披露してダメ出ししてもらい、細かい修正を重ねていく。落語と出会ったのは中学生の時。父親が突然買ってきた１本のカセットテープで落語に魅了された。その後は落語と無縁の生活を送っていたが、半年前、目が不自由でもできる落語を始めてみようと決意し、稽古の日々を送っている。デビューを目指して奮闘するザトーの姿を追う。

１９７５年の広島が舞台のドラマ。この年はカープ初優勝の年だが、カープはそれまで３年連続の最下位。奇跡の始まりに誰も気づいていない春、３人の少年が出会った。野球少年で熱血、やんちゃなヤス。新聞記者を目指しカープに夢中でどこかおっとりしたユキオ。そして、東京からやってきた、頭が良くて気の優しい転校生のマナブ。転校に慣れているマナブにも、被爆から３０年の広島は、ほかのどの町とも違うと感じる。千羽鶴運動、触れてはいけない心の傷を持つ人…。周囲の大人たちの事情がありながらも、３人は赤ヘルの動向に一喜一憂し、次第に友情を深めていく。３人はカープ優勝の瞬間をどこで迎えるのだろうか。当時のラジオ実況をふんだんに使い、この時代を再現していく。◆芸術祭版を公開。初回放送は被爆７０年目の８月６日、１９７５年当時のカープのエース外木場義郎さんをスタジオに迎え、生放送で当時を振り返った。

スポーツ実況の第一人者である、新潟県民エフエム放送東京支社長の深澤弘が、野球界の話題を中心に、独自の視点と深澤ならではの取材で、様々なスポーツ情報を伝える。（２００５年１０月～２０１５年１２月放送）◆放送開始から１０年で迎えた最終回の今回は、退任されたばかりの前ＤｅＮＡベイスターズ監督の中畑清氏をゲストに迎え、野球実況１６００試合以上の深澤が中畑氏の野球人生を聞く拡大版。中畑氏が野球を始めたきかっけから、ドラフトを経てプロ野球選手になり、監督を辞めた今に至るまでに迫る。巨人入団時から中畑氏と親交のある深澤だからこそ聞き出すことができる、選手、監督としての意外な本音。中畑氏自慢の歌声も交えながらの最終回。野球を実況で伝えてきたアナウンサーが、野球人として生きる人間にスポットを当てインタビューすることで、野球人生を伝える。

有村康平（植村宏司）、３１歳。ストレスが原因で勤めていた会社を辞め、在宅でビジネス翻訳の仕事をしている。ローンで購入した中古マンションをリフォームし、入居したばかりだ。妻・みちる（千田美智子）の出勤を見送ると、隣室の駒元（松金よね子）が押しかけてきた。心ならずも引き受けたマンションの管理組合理事長として、一階の保育園の騒音を何とかして欲しいという。都市部を中心に、待機児童解消のため小規模な保育施設が増えつつある中、子どもの声も「騒音」として糾弾されかねない世相。他人とのかかわりを回避しようとしていた有村だったが、「騒音」を巡る騒動に巻き込まれながら、自分にとっての「静かな生活」を模索していく。

スタジオから電波でエリアを駆け巡りリスナーとの出会う事をコンセプトに、毎週土曜日に３時間半の生放送。毎週のテーマに寄せられるリスナーからのメール、生電話を軸に、ゲストを迎えたり、ＪＲ岡山駅構内にあるサテライトスタジオにやってくるリスナーも巻き込んだオープン参加型生ワイドを目指す。パーソナリティは、テレビ番組「国司憲一郎のリンだＲｉＮだ」の「ＲｉＮ太」こと国司憲一郎アナと、天然ぶりが人気の「リンだ」こと小松千絵アナ。（２０１５年４月放送開始）◆今回のテーマは「あなたの好きな音は何ですか？」。寝台特急にまつわる音、県庁のサイレンなど、様々な音が登場する。またゲストもラジオカーリポートも音にこだわって伝える。番組後半は、機動力を活かし、国司憲一郎が放送席を飛び出す「飛び出せ！土曜番長」のコーナー。今回は副番長の小松千恵が岡山駅のホームから、列車が発着する音にこだわってリポートする。（６０分の編集版を公開）

中国・四国の８局が持ち回りでそれぞれのエリアの様々な情報を発信する「中四国ライブネット」。今回は西日本放送の制作。◆私たちの身の回りの小さな虫たちにはそれぞれ役割があり、色や形にも理由がある。同じ地球に生きていきながら、人間はついつい見過ごしてしまうのが虫の世界。でも、よく観察してみると、そこには大きな自然につながる目からウロコの発見がたくさんあるのだ。オオクワガタとゴミムシの魅力対決、苦手な人が多いあの虫の意外な役割、大人の昆虫採集、ファーブル昆虫記に登場する究極の美食など、様々な切り口で昆虫の世界に誘う。リスナーからも、虫にまつわる思い出、言い伝え、地域ごとの呼び名などが寄せられる。小さな虫たちから見えてくる大きな自然、生き物が生きている意味を楽しく伝える。

「備前平野に春を呼ぶ」と言われる西大寺会陽（えよう）は、５００年以上の歴史を持ち、極寒の中、９千人のはだかの男たちが投下された宝木（しんぎ）を奪い合う奇祭である。伝統の祭りを、ラジオならではの実況中継で伝える。◆春を待つ厳しい冷え込みの２月の夜、会陽が行われる西大寺観音院の特設放送席から放送は始まる。すでに境内には９千人の男たちが集結して白い息を吐いている。番組は祭りの高揚感を伝えながら、午後１０時の宝木投下の瞬間を待つ。２本の宝木が「御福窓」から投下されると、はだかの波がうねり、集団格闘技のような争奪戦が始まる。スポーツ中継のようにライブ実況するのは国司憲一郎アナウンサー。今年は岡山市出身で大阪のアイドルグループでセンターを務めている福井柑奈さんをゲストに迎えた。宝木の通り道からの中継リポートなども交えて、激しい争奪戦から宝木を授かった福男の声、そして祭りの後の寂しさまでの一部始終を伝える。

主婦の早川みどりは、近所の歯科医院で午前中だけ受付のパートをしている。そこに、８０歳の木下弥生が入れ歯の調子が悪いと言って通院していた。歯科医によれば、弥生の歯に問題はなく、話し相手が欲しくて来ているようだ。ある日、みどりが仕事を終えて帰ろうとすると、弥生が入口に立っていた。雨が降ってきたのだ。弥生は手に赤い傘を持っているが、重くてさして歩くのがしんどいのだと言う。「雨の日でも気分が晴れるように」と、娘が買ってくれた赤い傘だ。みどりは弥生の家までその赤い傘をさし送っていき、その日から、みどりと弥生の交流が始まった。◆ひとりの主婦が孤独を抱えた高齢の女性と出会い、心を通わせた日々を、劇作家・高井浩子が淡々と、かつ温かく描く。