音楽評論家の吉田秀和さんは、１９７１年から２０１２年に亡くなるまで４１年にわたり、ＮＨＫ－ＦＭの人気番組「名曲のたのしみ」で解説を務めた。この中で放送されたシリーズ「ベートーベン　その音楽と生涯」（１９８８～９１年、全１０７回）から、吉田さんの名解説を厳選し、ベートーベンの不朽の名作と共に楽しむ。◆第１回は「大作曲家の全体像」と題し、シリーズの最初に放送された導入篇などから、ベートーベンの音楽の革新性、特徴などを、同時代の音楽家と比較しつつ、歴史的文脈から紐解いていく。曲目は「レオノーレ　序曲　第３番　作品７２ａ」ほか。

「備前平野に春を呼ぶ」と言われる西大寺会陽（えよう）は、５００年以上の歴史を持ち、極寒の中、９千人のはだかの男たちが投下された宝木（しんぎ）を奪い合う奇祭である。伝統の祭りを、ラジオならではの実況中継で伝える。◆春を待つ厳しい冷え込みの２月の夜、会陽が行われる西大寺観音院の特設放送席から放送は始まる。すでに境内には９千人の男たちが集結して白い息を吐いている。番組は祭りの高揚感を伝えながら、午後１０時の宝木投下の瞬間を待つ。２本の宝木が「御福窓」から投下されると、はだかの波がうねり、集団格闘技のような争奪戦が始まる。スポーツ中継のようにライブ実況するのは国司憲一郎アナウンサー。今年は岡山市出身で大阪のアイドルグループでセンターを務めている福井柑奈さんをゲストに迎えた。宝木の通り道からの中継リポートなども交えて、激しい争奪戦から宝木を授かった福男の声、そして祭りの後の寂しさまでの一部始終を伝える。

土曜午前の生ワイド番組。阪神大震災から２０年のこの日は、夢を持って神戸大学に進学した息子を震災で失った女性の、その後の生き方を見つめる。◆広島在住の加藤りつこさんは、阪神大震災によって一人息子の貴光さんを失った。貴光さんは高校時代、一文字弥太郎の番組のリスナーだった。加藤さんのために、貴光さんが出演していた番組を見つけ出す。息子を亡くした後、加藤さんは悲しみのあまり、何も手につかない日々が続いたという。貴光さんは大学進学時に、母に一通の手紙を書いていた。生前のその手紙が新聞で紹介されたのをきっかけに、一歩踏み出すことができた。大切な人を失くす悲しみ、そこからどうやって立ち直ることができたのか。遺族はどんな時間を過ごし、教訓はどう生かされるのか。１年前の広島土砂災害とも重ね合わせ、命の尊さを改めて考え、向き合う。

２０１５年５月１０日、マリンピア松島水族館は営業最終日を迎えた。１９２７年に県内の事業家が開業し、戦中・戦後に一時営業が途絶えたものの、国内２番目に長い８８年の歴史を誇る。社長の西條直彦さんは１９６９年から経営に携わり、オイルショックで人手と資材が不足する中、自ら新水族館の建設に汗を流した。また持ち前の好奇心とチャレンジ精神で数々の生き物を求め、時には現地の海にまで船を出した。こうした熱い思いに応えてきたのが、神宮潤一さんら飼育員たちだ。マンボウの飼育日数世界記録達成、日本初のイロワケイルカ繁殖などの快挙を生んだ。また東日本大震災後は１か月半足らずで再開し、神宮さんは水族館が多くの人々に勇気と希望を与えるオアシスのような存在だったことを実感した。営業最終日、松島のシンボルには名残を惜しむ多くの人々が詰めかけた。閉館セレモニーの余韻が残る中、西條・神宮両氏は、それぞれの水族館人生を振り返り、次なる夢や目標を語った。水族館の歴史の節目節目に隠されたドラマを、関係者の証言から綴る。

２０１５年３月１９日に亡くなった桂米朝さんを偲ぶ追悼番組。米朝さんは１９２５年、旧満州で生まれ、姫路市で育った。桂米團治に入門し、上方落語の復興に尽力した。人間国宝に認定され、落語界初の文化勲章も受章したが、今月、８９歳で永眠された。桂ざこばさんら関係者のコメントを紹介した後、１９７０年代に放送された「落語百選」から、「骨つり」「天狗裁き」などについての米朝さんの解説を振り返る。さらに米朝さんの落語「動物園」「一文笛」をじっくり聞く。

「土曜の朝にさわやかなアカペラのハーモニーを」をテーマに、神戸で結成されたアカペラグループのパイオニア、Ｃｈｉｃｈｅｎ　Ｇａｒｌｉｃ　Ｓｔｅａｋのメンバーたちが、個性を生かした週替わりのコーナーと、週末のスタートにふさわしい爽やかな音楽を盛り込んだ、大人の休日のための音楽情報ワイド番組。（２０１４年７月放送開始）◆今回は月に一度のメンバー５人が集合する日。グループ結成２５周年の節目にあたり、初めてリリースするベストアルバムに触れつつ、２５年を振り返る。スタジオライブではアカペラの声の重ね方を解説しながら、「Ｓｔａｎｄ　Ｂｙ　Ｍｅ」を披露する。後半は歌手でタレントのつるの剛士さんをゲストに迎え、スタジオで共演。様々な角度からたっぷりと、アカペラの魅力、歌の力を発信する。

２００７年からアルビレックス新潟のＪ１リーグのゲームを中継しているＦＭ　ＰＯＲＴが、柳下正明監督へのインタビューを通して２０１５シーズンを振り返る総集編。◆ピッチサイドコメンテーターとしてベンチの後ろから柳下監督見つめ、伝え続けてきた松村道子が、退任を発表した柳下監督への単独インタビューに臨む。場所は、普段は関係者以外入れないスタジアムの監督控室だ。試合中、監督が見せる言葉やアクションには、「監督もベンチで闘っている」と感じさせるものがあった。その場面を振り返り、監督にその時の気持ち聞く。監督を理解しようとし続けた松村は、監督業に対する人間・柳下正明の本音、さらにサポーターでも初めて聞くであろうプライベートもを引き出していく。そして、柳下監督がチームに残したものを引き継ぎつつ、新監督の下でまたチームを応援し続けていくための心の区切りをサポーターに提案していく。

青森県に建設中の大間原発は、津軽海峡を挟んで函館市から３０キロ圏内にある。函館市には“地元”として事故が起きた場合の避難計画が義務付けられるが、建設の是非について口出しする権限はない。福島原発事故を機に避難計画の対象となる範囲は拡大したのに、同意対象の範囲は変わらなかったからだ。観光都市函館では、世界初のフルＭＯＸ原発である大間原発への不安が高まっている。こうした原子力行政の矛盾を問うべく、函館市は国と事業者を相手どり、前代未聞の裁判を起こした。避難計画を義務付けられているのに、建設を止められない函館市の立場を通して、原発の地元とは何かを問う。◆ＳＴＶラジオ報道特別番組。