東日本大震災のとき、余震の恐怖と放射線への不安に暗闇で耐えながらＴｗｉｔｔｅｒで詩を発信し続けた福島市の詩人・高校教師の和合亮一さん。この５年間の作品をまとめた詩集は８冊に上る。詩の内容は、発災当初の「悲しみ・怒り・恐怖」から「希望・子ども・未来」へと変化し、明るい兆しを見せている一方で、震災の記憶の風化が進んでいるとも感じているという。ことばでどのように震災を伝えていこうとするのか、話を聞いた。

“ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さんは、青森県生まれ。９２歳になった現在も、ＮＨＫ「きょうの料理」に出演したり、自宅の料理教室で教えたりしているほか、レシピ本も出版するなど、元気に活躍している。原点となったのは、母から徹底的に仕込まれた料理と作法、そして「もてなしの心」だという。命をつなぎ、立ち居振る舞いを養う「食」についてお話を聞く。

障がい者スポーツの先駆者であり、パラリンピック水泳で名声をほしいままにし、かつて「水の女王」とも呼ばれた成田真由美選手。輝かしい成績を残し、２００８年の北京パラリンピックで選手生活を終えた。フリーアナウンサーの町亞聖は日本テレビのアナウンサーだった当時から長く取材してきたが、成田が２０１５年６月に７年ぶりに現役復帰したと知り、改めて深く取材しようと考えた。パラリンピックに４大会連続で出場し、１５個の金メダルを獲得した成田だが、決して平たんな道ではなかった。交通事故、様々な病気、特に２００７年は足の痛みが激しく、最も苦しい状況だった。それでも諦めない姿勢を貫いた。北京パラリンピック後は講演活動や、障らい者スポーツ支援活動を行ってきたが、再び現役に復帰。成田選手の自宅、練習中のプールなどで等身大の姿に触れるとともに、家族やコーチ、プール仲間などの声で、成田真由美という人間の本質を浮き彫りにしていく。

１４歳の美少女りく。悲しみの意味はわからない。それでも、人前で自在に涙を流すことで、うまくやってきた。カッコいいパパと、美人で料理上手のママと「仲よく」暮らしていた。だが、あることをきっかけに、りくは関西の親戚の家に預けられることになる。ざっくばらんな関西人たちの中に突然放り込まれたりくは、「わたしは染まらない」と頑なになるのだった。ほしよりこのマンガ大賞受賞作のオーディオドラマ化。（全１０回）◆最終回。東京に帰る支度をしていたりくは、ときちゃんが退院するまでおばの家にとどまることにした。

キャバクラで働く２５歳のミカは、出会い系サイトで“サクラ”をしているハナと暮らしている。どこかうまく生きられない者同士の二人だ。ある夜、仕事にイラついていたミカはハナのことを「人をだまして稼いでいる！」となじった。間もなく、ハナが姿を消した。心配するミカは、出会い系サイトの事務所を訪ね、そこでハナが演じていたサクラのキャラクター「あいちゃん」の代役を任されてしまう。あいちゃんは驚異的な人気だが、やり取りするメールの内容は、近所の商店街や神社などささやかなもの。しかし、ハナが姿を消す前に、サトルという男と会う約束をしていたことがわかった。◆都会の片隅で生きる女性二人の屈折した友情と、自分を取り戻していく姿を表情豊かに描くヒューマンドラマ。第６８回イタリア賞ノミネート、２０１６年ＡＢＵ賞ノミネート。

ゲストが大切にしているレコード盤を、ゲストの思い出話とともに楽しむひと時。今回のゲストは落語家の立川志の輔。スタジオにレコードプレーヤー（ターンテーブル）を持ち込み、聞き手を務める春風亭昇太がレコードに針をおろす。紹介する曲は、前半が「十番街の殺人」ザ・ベンチャーズ、「ランナウェイ」シャネルズ、「ストレンジャー」ビリー・ジョエル、「君に捧げるサンバ」サンタナ。後半は「モーニング・グローリー」リー・リトナーとエリック・ゲイル、「黒船・嘉永六年六月四日」サディスティック・ミカ・バンド、「シュガー・ベイビー・ラブ」ルーベッツ、「至上の愛」ジョン・コルトレーン、「おきざりにした悲しみは」吉田拓郎、「ツァラトゥストラはかく語りき」エウミール・デオダート、以上１０曲。志の輔はこの番組のためにわざわざ富山に帰省して、倉庫からレコードを探し出してきたという。

毎年恒例の「新語・流行語大賞」で、２０１６年は年間大賞の「神ってる」をはじめ、「聖地巡礼」「トランプ現象」「ポケモンＧＯ」「ＰＰＡＰ」などのことばがトップ１０に選ばれた。また、リオデジャネイロ五輪でのメダルラッシュ、映画「シン・ゴジラ」「君の名は。」の大ヒットなども大きな話題を集めた。出版編集者で、ラジオ深夜便の「くらしの中のことば」出演者の一柳みどりさんが、１年を振り返り、話題になった新しいことばや流行語を解説する。

昭和２０年２月に大阪放送局から電波に乗った陸軍の中部軍司令部（大阪）の空襲警報が、録音盤に残されていた。この録音を「明日へのことば」内で放送したところ、多くのリスナーから戦時の防空放送の記憶が寄せられた。「市民への激励メッセージがあった」、「放送員が敵機の動きを報告する監視哨に叱咤していた」など。警報を担当していた元アナウンサーの山口岩夫さん（９７歳）の証言（２０１４年８月９日放送）を再構成で送るとともに、放送史に詳しい元昭和女子大学教授・竹山昭子さん（８７歳）の解説で、当時のラジオが担った特異な役割に光を当てる。