太平洋戦争末期、沖縄では日本で唯一の激しい地上戦が展開され、戦闘に巻き込まれた住民は「鉄の暴風」と呼ばれた砲弾の嵐の中を逃げ惑い、県民の４人に１人が犠牲となった。戦後も悲劇は終わらず、米軍占領下の沖縄では軍に強制的に土地を奪われ、そこに巨大な米軍基地が建設されていった。様々な音声記録で沖縄の歴史のターニングボイントとなった時代に遡り、沖縄の基地問題を見つめていく。◆前半は本土復帰前、ベトナム戦争中に起きた爆撃機の墜落炎上事故、祖国復帰運動、コザ騒動などを振り返る。時は流れて１９９０年代、米兵による少女暴行事件が起き、復帰後も変わらぬ問題が浮き彫りにされた。この後、普天間基地返還合意が発表されたが、新たな海上基地建設をめぐって県民は翻弄され続ける。

１９８１年から１９８７年、つボイノリオがパーソナリティを務めたラジオ番組「ハイヤングＫＹＯＴＯ」は、下ネタ全開で、年頃の男子（と少数派の女子）が、こっそり聴く深夜の人気番組だった。そんなつボイの番組が２０１２年秋に復活。ハガキからメールヘと投稿手段は変われど、元ハガキ職人からのメッセージは、遊び心満載で、読み応えがあり、パーソナリティがひたすら読み上げて紹介するラジオの原点が残っている。彼はラジオを通じてリスナーと共に下ネタを磨き、洗練された文化にしようと画策中。かつてのリスナーは会社では働き盛り、責任ある立場になる頃だが、この番組を聴いている間はしがらみから開放され、心だけは青少年の頃へと舞い戻ってもらう。「鞍馬の天狗の鼻は」「代筆」「３０年経ちましたが」などのコーナーで構成。今回は４月１日放送ということで、全国のリスナーから一風変わった春の便りが届く。

愛知県愛西市大法寺の住職、長谷雄蓮華さんは４４歳。１５歳の時に実家の本堂が焼失するという辛い経験をしたが、自力で寺を再建した。住職のモットーは、「施主ファースト、故人ファースト」。人々の寺離れが進む中、日々、供養の相談に応えながら、施主や相談者に寄り添い、「無料人生相談」をライフワークとしている。無料相談会は寺だけでなくスーパーの片隅などでも開催し、相談者の声にひたすら耳を傾ける。相談内容は、クスッと笑えることから深刻な悩みまで様々だ。住職の熱意の根底にあるものは何なのだろうか。また実際の法要の様子を伝えることで、寺や僧侶は、大切な人を失い遺された人々とどう関わることができるかを考る。（相談者には、相談内容の放送について了承を得ている。）

午後の生ワイド番組「気ままにラジオ」で４月２７日に放送した中継をベースにした番組。◆瀬戸内海に浮かぶ香川県の志々島は、学校も飲食店もない小さな島。番組パーソナリティの植松おさみさんが、かつてテレビ番組の取材で訪れていたこの島へ、高島孝子さんを訪ねる。出迎えてくれた息子さん夫婦と共に、孝子さんが守ってきた花畑で語り合う。次に３人は島のシンボル、大楠へ。悠久の時間を象徴するような楠の下で、ゆったりと流れる島時間を体感する。そしていよいよ孝子さんのお宅へ。二人の久々の再会、讃岐弁で交わす会話に聞く側も自然に笑みがこぼれる。孝子さんが作ってくれたのは、島の名物料理の茶がゆ。亡きご主人の思い出や、かつての島の様子を二人で話し合う。やがて帰りの船の時刻が近づく。小さな、しかし大事なものをたくさんもらった旅は終わる。過疎の島、限界集落といった言葉ではすくい取れない島のやさしい空気と時間。人に幸せって何だろう、と考える旅となった。

山形県庄内地方を中心に活躍する表現集団「いではプロジェクト」が２０１７年３月、山形市で語り劇「大地の母～遥かなる満州の記憶～」を上演した。山形市から満州に移り住んだ一家の物語である。モデルとなった神保さん一家は太平洋戦争末期、夫婦２人と子供４人で旧満州で暮らしていた。そこに突然、ソ連軍が侵攻。列車で逃げようとしたが、一部が爆発して火の海に。何とか逃れ、牡丹江を目指したものの、ソ連軍の機銃掃射で恐怖にさらされる。牡丹江に到着しても収容され、子供たちは栄養失調などで次々と亡くなり、長男だけになってしまった。そして１年後、ようやく日本に帰国する。母・まさのさん（享年８７歳）が戦後２０年たって綴った手記「追憶」をベースに、長男・亮さん（享年７７歳）の手記「戦争の恍惚」の内容を加えて脚本が制作された。語り劇と手記を通して亮さんの人生を振り返りながら、戦争を知らない若者たちが、どう戦争を伝えていくかに焦点を当てる。

２０１７年（平成２９）４月１４日、一人の唄者（うたしゃ）がこの世を去った。築地俊造、享年８２歳。澄んだ高音と軽妙な語りで聴く人を魅了し、１９７９年（昭和５４）第２回日本民謡大会で民謡日本一に輝き、以降生涯を奄美の島唄の普及、伝承に捧げた。その人生を振り返る。◆築地さんは奄美大島で育ち、幼少より島唄に親しんだ。唄者の新人発掘の大会で優勝し、さらに日本民謡大会で日本一になり、その唄は日本中に、そして世界に広まった。築地さんの唄は言葉にも力があり、心が伝わってくる。築地さんは奄美を遠く離れた場所で、唄の力を実感するある強烈な経験をした。また、晩年は大病に冒されながらも、むしろその継承により積極的に取り組んだ。親交の深かった島唄研究家、後輩、関係者の証言をたどりながら、築地さんが次世代に伝えたかった思いを探る。曲目は「なつかしゃ」「まんこい節」「ワイド節」ほか。

１４歳の少年・真人（本郷颯）と少女・佳乃（横山こころ）は、同い年で幼馴染だ。祖父が石垣島に住む佳乃は、沖縄のことに大きなこだわりを持っている。幼い頃は分け隔てなく遊んだ二人だったが、中学生にもなると生活水準の違いや家庭の事情など、幼い時は意識していなかったことが気になり始める。そして「世の中そういうもん」という状況を受け入れるようになってくる。だが、そうすることで失うものもある。日常を生きるうえでの処世術に戸惑いと矛盾を感じながら、家や学校だけではない外の世界・社会に目を向け始める中学生の二人。その揺れる心を明るくも哀しいタッチで描く。

ＦＭ　ＰＯＲＴは２００７年からアルビレックス新潟のＪリーグ戦を中継している。ここ数年、チームの成績不振からホームゲームの入場者が減少している。２０１７年１月に９年ぶりにアルビレックス新潟社長に就任した中野幸夫氏の「再びビッグスワン（ホームスタジアム）を満杯に」との言葉を受けて、今シーズンのホーム開幕直前に、４万人のスタジアム実現のためにできることを本気で考える。進行は、アルビ戦中継番組「リアルアルビ」でピッチサイドコメンテーターを務める松村道子。まずはＪリーグによる最新データを基に、筑波大学体育系准教授の仲澤誠氏に新潟の現状や課題を分析してもらう。それを受けて中野社長が、社長としての考えを語る。リスナーからもアイデアを募る。クラブ、チーム、サポーター、そしてＦＭ　ＰＯＲＴが本気になってビッグスワンを４万人で満たすことができるのか。新潟独自のサッカー文化を作り上げ、楽しみ方の多様性を探ることを目的に、番組を進める。