昭和２８年（１９５３）、ラジオ局として開局した秋田放送（当時はラジオ東北）は「バスガイドコンクール」という特別番組を制作していた。昭和３０年代に入ると戦後処理もひと段落し、全国の自治体は観光産業に力を入れ始めた。そこに助力したのが地域のバス会社。観光案内ができるスタッフを乗車させ、地域の細かい見どころやお勧め情報を発信したのだ。バスガイドの誕生だ。バスガイドコンクールは地方大会から全国大会へと進出する大規模なイベントで、バスガイドの卜－クカを競い、全国大会では各地の観光ＰＲが行われていた。バスガイドはトークのプロだ。観光地到着までの決められた時間の中で、客の想像力をかきたてる案内をし、ガイドブックには載っていない情報を伝え、歌を歌い、お客さんの声を拾う…。これはまさに、ラジオパーソナリティが日々のオンエアで行っていること。番組ではバスガイドの昭和、平成の歴史をたどりながら、トークのチカラの根源を探った。

平成１０（１９９８）年８月、栃木県下全域で発生した記録的豪雨は深刻な被害を生じさせました。とりわけ、那須町では２７日に１時間あたりの降水量が９０ミリ、１日あたりの降水量は６０７ミリを記録した。そのため、那須町を横断する余笹川が決壊した。いわゆる「那須水害」である。那須水害は住宅もさることながら、農業関係に甚大な被害をもたらした。あれから２０年が経ち、東日本大震災など多くの災害を経た今、多くの人たちにとって那須水害の記憶は忘れられつつある。それは復興を遂げたことを意味しているものの、この水害を経験した人びとの心に深い傷を与えた事実は残っている。まず、那須水害とはどのような出来事だったのかを振り返る。続いて、何もかも失い、被害を受けた酪農家夫妻、稲作専業農家の証言をもとに、復興への歩みがもたらしたことを考える。さらに、河川の整備事業に関わった元県職員の福田一郎さんや、同じく元県職員で県防災士会理事長を務める稲葉茂さんらの証言から、災害復興と災害情報の意義などを考える。

人気講談師、神田松之丞（現・神田伯山）が身の回りの出来事を中心に、独り言のように語りつづける３０分。（２０１７年１０月放送開始）◆今回は、松之丞に第一子が誕生したあとの騒動を軸に話が展開する。松之丞の妻が第一子を出産し、無事に自宅に戻って子育ての日々が始まったある日の夕方、自宅のトイレで妻が突然倒れた。妻を介抱する、救急車を呼ぶ、病院に付き添う、母親に助けを求めるなど、乳飲み子を抱えてあわてふためく自身の様子を、松之丞がユーモアを交えて語る。

福島第一原発の事故後、福島県福島市から自主避難してきた武田徹さん（７７歳）は、妻の節子さんと２人で７年前から山形県米沢市の雇用促進住宅で生活している。２０１７年３月で住宅支援の無償提供が打ち切られたが、武田さん夫婦は、家賃を払うことを拒んできた。それから半年。住宅を管理していた独立行政法人が、武田さん夫婦を含めた、家賃を未払いの８世帯の自主避難者を訴えた。住宅の明け渡しと滞納している家賃の支払いを求めている。武田さんは、「福島を出たくて出たわけじゃない。原因を作った国と東電が家賃を支払うべき」と話す。また、避難生活が続く中で、金銭的な負担が増え、毎月約４万円の家賃が家計に与える影響は大きいという。支援の継続を求める武田さんの動きや、被告となった避難者たちの生の声を通して、原発事故に翻弄されてきた「自主避難者」の今を伝える。◆ＹＢＣラジオドキュメント

西田敏行と竹下景子による二人芝居の文芸ドラマシリーズ。放送開始１０周年を迎えた記念すべき年度最初のシリーズは、かつて森繁・加藤コンビでもドラマ化された藤沢周平作品を、短編のリメイクと新作で届けた。第４回は、「夜の橋」（新作）を放送。◆民次の別れた女房のおきくが、再婚話の相談のために、民次の家を訪ねる。再婚相手の秘密を知った民次は、縁談を断るようにおきくに迫ると同時に、再婚相手の兼吉とも対峙する。

山口県柳井市の瀬戸内海の島、平郡島（へいぐんとう）。人口３５０人のこの島の小学校で、今春（２０１８年３月）、卒業式が行われた。在校生５人に見送られて卒業したのは、松川洵子さんただ一人。島の住人が卒業式に出席するという島ならではの風景である。しかし、島に子供がいなくなったことでこの小学校は６年前まで休校していた。神奈川県からＩターンでこの島にやってきた松川さんが入学と同時に小学校は再開し、全校児童１人の小学校はスタートした。新しく島に来た先生とマンツーマンの学校生活。島に学校ができたことで、島にやってくる家族も増え、島には少しずつ子供たちの声が響くようになった。そんな子供たちを宝のようにやさしく包む大人たち。大切な人との別れ、新たな出会い。松川さんの入学から卒業まで、平郡東小学校の６年間を追った。

岡山県浅ロ市鴨方町には国立天文台岡山天体物理観測所があり、１８８ｃｍ望遠鏡が日本の天文研究を支えてきた。その隣にアジア最大級となる京都大学３．８ｍ新望遠鏡が完成し、観測を始める。地域の宝ともいえる岡山の星空を語り合う。◆岡山市北区真星（まなぼし）には、星神社という神社がある。ここには奈良時代に３つの星が落ちてきたと古文書に記されてる。ゲストは、筋金入りの宙ガールで美星町の星空大使も務める篠原ともえさん、日本天文学会会長で京都大学大学院理学研究科附属花山天文台長の宇宙物理学者・柴田一成教授、倉敷科学センターの星空コンセルジュ・三島和久さんの３人の「ほしびと」。岡山と星空との関わり、３．８ｍ新望遠鏡はなぜ岡山につくられ、何を解き明かすのか、人は宇宙へ旅立つのかなど、尽きることのない星モノガタリに時間が過ぎていく。

平日朝の生ワイド番組。（２０１７年４月放送開始）被爆７３年目の８月９日、長崎市の平和公園から生放送した。◆パーソナリティーの二人が、平和公園と２００メートほど離れた爆心地公園付近を巡りながらの生中継。そこで出会った人々の声を伝えた。長崎での体験を生徒に伝えたいと話す高校教師、ゼミ合宿で東京から来た大学生、被爆者について論文を書いたアメリカ人女性、ツアーで訪れた静岡の母娘、被爆の実相を画像で残す活動に参加したカメラマン、取材中のジャーナリストなど、いずれも偶然に出会った人々である。ラジオカー「スキッピー」の訪問先は、西城山小学校。二重被爆者だった曽祖父の山口彊（つとむ）さんの被爆体験を紙芝居で語り継ぐ活動をしている原田晋之助君を訪ね、若い世代が取り組み始めた「新たな継承のカタチ」を紹介した。